「糖質って控えたほうがいいの?」
「脂質って全部悪いの?」
「塩分ってどうやって調整したらいいの?」
こんなふうに、毎日の食事で気になる“3大栄養素”について、不安や疑問を感じたことはありませんか?
でも、あれもダメ、これもダメ…と考えると、
食べること自体がしんどくなってしまいますよね。
この記事では、料理教室や福祉施設で栄養アドバイスをしている現役の栄養士が、
「糖質・脂質・塩分の摂り方」について、わかりやすく、今日からできる工夫と一緒にご紹介します。
✔ 糖質は減らしすぎると体に負担って本当?
✔ 脂質は「良い脂」と「悪い脂」がある?
✔ 塩分は減らすだけじゃなく、出す工夫も大事?
このようなテーマについて、無理なく実践できるポイントをまとめました。
忙しくても、気軽にできるコツを知っておくだけで、食事がもっとラクに、もっと楽しくなりますよ。

目次
1. 糖質の摂りすぎより怖い「減らしすぎ」
糖質というと、「太る」「控えた方がいい」といったイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
たしかに、糖質の摂りすぎは体重増加や血糖値の急上昇につながる可能性があります。
でも、実は“糖質を極端に減らすこと”にもリスクがあるのです。
特に、40代以降の女性は体の代謝が落ちてきますので、無理な糖質制限をすると…
- 集中力が低下する
- 疲れが取れにくくなる
- 便秘になりやすくなる
- 反動で甘いものが欲しくなる(=リバウンド)
といった悪循環に陥りやすいです。
実際に私のところにも
「糖質オフを頑張っていたけど続かなかった」
「ある日どか食いしてしまって自己嫌悪…」
という相談がよく寄せられます。
大事なのは、“糖質を完全にカットする”のではなく、“量と質を整える”こと。
具体的には、白ごはんを雑穀米にしたり、パンを全粒粉に変える、
ご飯や麺料理だけの食事を避けて定食スタイルにするといった工夫が効果的です。
また、おやつを我慢しすぎず、甘栗や焼き芋など自然な甘みを取り入れるのもおすすめです。

2. 脂質はすべて悪者じゃない!良い脂・悪い脂の違い
脂質というと、「ダイエットの敵」「コレステロールが気になる」と、マイナスのイメージを持たれがちです。
でも、脂質は私たちの体にとって欠かせない栄養素。
特に女性はホルモンのバランスを整えるために、良質な脂を適度に摂ることが大切です。
ここで覚えておきたいのが、「脂質には良い脂と悪い脂がある」ということ。
良い脂(摂りたい脂)
- オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油、えごま油 など)
- オリーブオイル、アボカドの脂
- ナッツ類(無塩・素焼き)
悪い脂(控えたい脂)
- トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング、加工菓子など)
- 古くなった油、酸化した油
- 揚げ物の衣に含まれる油(特に外食)
「脂=太る」と考える前に、“どんな脂を、どう摂るか”を見直してみましょう。
蒸す・煮る・茹でるといった調理法を使えば、余分な脂を抑えつつ、良い脂はしっかり取り入れることができますよ。

3. 塩分は控えるだけじゃダメ?排出も意識するのがコツ
「血圧が高めだから塩分を控えてください」と言われた経験はありませんか?
実は、塩分の摂りすぎは血圧だけでなく、「胃がんのリスク」にも影響があるといわれています。
日本人は世界的に見ても塩分摂取量が多く、
特に漬物や味噌汁など、和食に含まれる塩分を意識せずに摂ってしまいがちです。
ただし、「塩分=ゼロにすればいい」というわけでもありません。
汗をかく季節や運動後には、適度な塩分も必要です。
ここで大切なのが、「排出する力をつける」こと。
カリウムを多く含む食材を意識的に取り入れると、体の中の余分な塩分を外に出すサポートになります。
カリウムが多い食材
- ほうれん草
- バナナ
- じゃがいも
- アボカド
- 海藻類(わかめ・ひじきなど)
「昨日ラーメンを食べたから、今日はカリウムが多い食材を意識してみよう」
そんな風に、自分の食生活を自分で少しずつ調整していくことが健康管理の第一歩です。

4. 栄養バランスは「一日単位」より「数日単位」で見る
「今日食べすぎちゃった…」
「栄養バランスが悪かったかも…」
そんなふうに落ち込む必要はありません。
食事は一日単位で完璧を目指すのではなく、数日単位で調整していくのが現実的で長続きします。
たとえば…
- 昨日、外食で脂っこいものを食べた → 今日は野菜中心&蒸し料理
- 昨日、塩辛いものが多かった → 今日は塩分控えめ+カリウム豊富な献立
- 甘いお菓子を食べすぎた → 次の日は果物やヨーグルトなど自然な甘みにシフト
こうした「振り返って調整する」習慣がつくと、体も心も無理なく整っていきます。

5. 栄養士がすすめる“日々の調整”の具体例
私が実際にアドバイスしている調整法をいくつかご紹介します。
✅ 揚げ物を食べた翌日は「蒸す・茹でる」で油を控える
→ からあげを食べたら、翌日は温野菜や豆腐を使ったあっさりメニューに。
✅ 外食した翌日は自炊で味をうすめに
→ 特に中華やラーメンのあとには、味噌汁の塩分をいつもより控えたり、出汁を活かした料理にすると自然にバランスが取れます。
✅ 朝・昼・晩のバランスを意識する
→ 朝と昼が軽かったら夜はしっかり、逆に夜が重かったら朝はお粥や果物でリセット、など。

6. 食事を制限ではなく「調整」でとらえよう
最後にお伝えしたいのは、「食事を制限ではなく調整として考えてほしい」ということです。
「我慢ばかり」の食生活はストレスになり、結局リバウンドにつながる可能性もあります。
反対に、調整しながら楽しむことで、食事は“体と心を整えるツール”になります。
私は福祉施設や料理教室で、多くの方の食生活を見てきましたが、
うまくいっている人の共通点は“ゆるく、長く、続けている”ということ。
栄養の知識は、正しく取り入れてこそ意味があります。
難しい理論は必要ありません。
「昨日は焼肉だったから、今日は野菜たっぷりスープにしようかな」
そんな小さな積み重ねが、あなたの体をきっと変えていきます。

まとめ & 一言
糖質・脂質・塩分は、私たちの体にとって必要不可欠な栄養素です。大切なのは、敵視するのではなく、付き合い方を学ぶこと。減らしすぎず、摂りすぎず、バランスよく、自分の体と向き合いながら、食事を楽しむコツを知っていきましょう。
「何を食べたか」より、「どう調整したか」が、これからの健康を左右します。
今日から少しずつ、一緒に整えていきませんか?