健康に関する記事や動画を見て「これ、試したほうがいいのかな?」と迷った経験はありませんか?
私もかつて、何を信じたらいいのか分からなくなったことがあります。
今回は、そんな迷いをなくすための“情報との付き合い方”を、わかりやすくお届けします。

なぜ正しい健康情報が届きにくいのか
「医師監修」と書かれているウェブサイトや本、肩書きのある人の発信内容であっても、
必ずしもすべて正しいとは限りません。
実際に、医師や看護師、栄養士といった専門職の人が発信していても、
内容に大きな偏りや誤解を招くものがあります。
特にがん治療の情報では、
「自然治癒を目指して抗がん剤を使わない」「免疫療法で治す」といったフレーズを見かけることがあります。
しかし現実には、標準治療を受けずに治るケースはほとんどなく、
がん細胞は放っておけば進行し、転移すれば治療の選択肢も限られてしまいます。
「標準治療」という言葉に「もっと良い方法があるのでは?」と感じる方も少なくありませんが、
標準治療とは「現在の医学で最も効果が実証されている方法」という意味です。
言葉の響きだけで判断すると、正しい選択から遠ざかってしまうことがあります。
免疫システムは一つの方法で劇的に変わらない
最近では「免疫力アップ」という言葉がブームのように使われています。
もちろん、説明のためにこの言葉を使うことはありますが、
正確には「免疫システム」と呼びます。
免疫システムは、特定の食品やサプリを摂っただけで急激に強くなるような単純なものではありません。
免疫に影響を与える要因は、栄養バランスの取れた食事だけではありません。
喫煙や飲酒、ストレスの有無、性格、遺伝的体質、住環境や育った背景、運動習慣、睡眠の質など、
さまざまな生活習慣や環境要因が複雑に絡み合っています。
それにもかかわらず、
「このサプリで免疫が上がる」「○○を食べるだけで風邪知らず」といったキャッチコピーが広まり、
多くの人が信じてしまう現状があります。
こうした単純化された情報は、科学的な根拠に乏しく、誤った健康管理につながりかねません。

信頼できる情報を見極めるために大切なこと
正しい健康情報を受け取るためには、情報の一次ソースを確認することが欠かせません。
「この情報の出どころはどこか?」「信頼できる研究に基づいているのか?」
といった視点を持つことで、誤情報に惑わされにくくなります。
特に研究データを読むときには、
統計の対象人数(母集団)や条件の偏り、プラセボ効果(偽薬でも効果があるように見える現象)の有無をチェックすることが重要です。
例えば、200人程度のデータでも、条件や対象者の選び方によって結果は大きく変わります。
小規模で条件が偏った調査を、あたかも万人に当てはまるように紹介している記事も少なくありません。
また、個人の感想や口コミは、科学的根拠とは異なります。
感想はあくまでその人の体験談であり、同じ効果が他の人にも現れるとは限りません。

発信者としての覚悟と読者へのメッセージ
私は、健康や栄養に関わる情報を発信するとき、必ず裏付けを取るようにしています。
それは、どんなに小さな情報でも、受け取る人にとっては人生を左右する大きな意味を持つことがあるからです。
だからこそ、「これなら大丈夫」と自信を持って言える内容だけを届けると決めています。
この姿勢を身につけるため、
私はシングルマザーという立場で大変な時期もありましたが、思い切って栄養士の専門学校に通いました。
専門知識を学び、信頼できる情報を見極められる力を身につけるためです。
これからも、皆さんが正しい知識を選び取り、自分や大切な人の健康を守れるよう、確かな情報を発信していきます。
一緒に、情報に振り回されない力を育てていきましょう。